カラーストーンの合成石・類似石ってあるの?
前回はダイヤモンドの合成石・類似石についてお伝えしました。では、ダイヤモンド以外のルビーやサファイア、エメラルドなんかにも合成石や類似石の問題はあるのでしょうか?
業界に携わる人によっても若干、意見の分かれるところもあるでしょうが、わたしの回答としては「カラーストーンにも合成石や類似石はあるがダイヤモンドほど問題となっていない」となります。
カラーストーンの合成石
カラーストーにも合成石はあります。
合成石の歴史はダイヤモンドよりも古く、特にルビーやサファイアといった宝石で知られるコランダム(ルビーもサファイアも色が異なりますが同じ種類の石です)は1800年代後半には主に工業用として生産されていました。
日本企業の京セラも独自に技術開発した合成サファイアやルビーをジュエリー用として大々的に展開しております。
純粋さを追求するダイヤモンドと多様性を楽しむカラーストーン
では、なぜカラ=ストーンは合成石や類似石の問題がダイヤモンドほど顕在化していないのでしょうか?
マーケットの小ささ
まず、考えられるのがそのマーケットの小ささです。
ダイヤモンドは婚約指輪や記念日などブライダル関連のマーケットと深く結びつき、イメージ戦略が功を奏したこともあって巨大なマーケットを作り出しました。
一方、カラーストーンは誕生石をはじめさまざまな形で需要喚起していますが、まだまだ一部の宝石収集家の好むニッチなアイテムといった感があります。
カラーストーンの方が天然石の個性が出る
次にやや私見も入りますが、ダイヤモンドに比べカラーストーンの方が個性を大事にする傾向があり、このことがカラーストーンの合成石が市場を荒らしてしまうことの少ない理由に直結するのではないでしょうか。
ダイヤモンドの回でも述べましたが、現在の技術で合成石を作るとき、多くの場合で不純物の入らない純粋な結晶体を生成することが可能です。
ダイヤモンドについては、無色透明な(Dカラー・IF)の方が市場価値が高まります。要は単純なダイヤモンドの見た目上の価値は合成石が天然石を上回ってしまうのです。
一方、カラーストーンはダイヤのように単純ではありません。耐久性にも直結する透明度は高い方が珍重されることはあるのですが、カラーストーンの一番の魅力である色合いはそう単純なものではありません。
カラーストーンの色合いは、結晶化する際に不純物を取り込むことで固有の色合いを発することが知られています。ときに不純物は産出地固有の色合いを発したり、特殊な効果を(例えばカラーチェンジやスター効果など)を示すことがあります。
このように、カラーストーンは不純物をその石の個性として楽しみ、場合によっては市場の価値を左右することがダイヤモンドと比較して明らかに多いのです。
自由に楽しむことも
技術革新は目覚ましく進み、現状では存在しない不思議なカラーストーンが市場に出てくるのもそう先のことではないと思います。
昔からある伝統的なカラーストーンを身につけるのか、多種多様な合成石を楽しむのかは買い手が自由な発想で選んでいけば良いと思います。
私たち業界に携わるものは、正しい情報と適切なプライシングを市場に反映させていくことで健全な市場形成に寄与できるのではないでしょうか。
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(おわり)
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