勝ち組ハードを買えない少年期 4(SEGA ゲームギア編)

店長のひとりごと

同じ過ちを繰り返す

さて、わたしは無事に高校へと進学し、勉強に、部活動に、ゲームにとそれなりに忙しくも充実した日々を送っていた。
前回の騒動で家にやってきたPC-88VAも、父親のビジネスニーズをとりあえずは満たし、わたしもその頃の日本ファルコムから発売されるゲームを中心にそれなりに楽しんでいた。
ただ、忙しい日々の中で読む機会の減っていたパソコン雑誌で見かけるX68000向けのゲームのラインナップは、ますます輝きを増していった。

第4部(最終話) SEGA ゲームギア編

学校で対戦型ゲームが流行る!!

そんな学校生活に変化が起こっていた。
学校にゲーム機を持ち込んで休み時間や放課後に遊ぶ同級生が現れたのだ。ゲームボーイの登場である。

当初は一部の男子生徒のみに見られる現象であったが、あるゲームの登場でその流れが一変した。
そのゲームは「テトリス」だ。
様々なプラットフォームやバージョンを経て、2023年時点でも現役で遊ばれている化け物ゲームソフトである。

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当時、わたしもPC -88VA版のテトリスを所有してそれなりに楽しんでいた。しかし、正直そこまで社会現象になるような画期的で楽しいゲームとは思えなかった。
ゲームボーイ版のテトリスは様々な改良が施されていたのだが、その中で最も大きなパソコン版との違いは友人と対戦できる点だった。

事実、学校で爆発的に流行った。
あまりゲームなどしてこなかったであろう女子生徒も巻き込み、多くの同級生がゲームボーイとテトリスを所有し、放課後になると対戦用のケーブルを繋いでテトリスの対戦をしている姿を見かけた。

実機を持っていなかったが、わたしも何度となく友人のゲームボーイでテトリス対戦を遊んでいた。
友人と対戦するテトリスは異次元の面白さだった。
当然のようにわたしはゲームボーイが欲しくなり、貯金などという観念も持ち合わせていなかっったので、翌年のお年玉で買おうと画策していた。

SEGAからカラーの携帯機が発売される

そんなこんなで季節は過ぎゆく。
ちょうど秋から冬にかわる頃、SEGAから新たな携帯ゲーム機が発売された。

そのゲーム機は当時の少年心を捉えるには十分なスペックを備えていた。
ゲームボーイと比較した最大のアドバンテージはカラー表示されることと別売りの機材は必要だがテレビ視聴できる点だ。

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「セガか・・・」ふと少年期に味わった甘酸っぱい記憶が蘇る(ほぼ酸っぱい記憶だが・・・)。
しかし先述したカラー表示とテレビ機能は抗し難い魅力があった。
あとはゲームソフトも大切だ。
「テトリス」あるいは似たようなゲームは発売されているのであろうか?

発売されていた。しかもゲームボーイのように対戦もできる。
「コラムス」だ!!

対戦ゲームで遊ぶには対戦相手が必要だ

わたしの心は決まっていた。
翌年、お年玉を握りしめて八ヶ岳下ろしが吹き荒ぶ寒風の中、わたしはデパートへと自転車を走らせた。

首尾よくゲームギアとコラムスを手にいれたわたしは、しばらくの間楽しいゲームギア・ライフを送っていた。
わたしの勝手に思い描く未来予想図は、お正月にお年玉でゲームギアを購入した同級生が大勢いて、皆で楽しくコラムスを対戦している姿をだった・・・

しかし、残念なことにゲームギアを手にしている友人を見かけることはなかった。
ゲーム好きで知られる同級生数人に聞いても、ゲームギアを買う予定はないとのことだった。

そして、程なくしてわたしの高校生活は終わりを迎えた。

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大人になるということ

わたしは都内の大学へ行くことになり、一人暮らしをすることになった。
ゲームギアはその頃街に増え出したゲームショップに売り払い、代わりに徐々に勢力を強め出したスーパーファミコンを中古で購入した。

10年以上に渡り、あれやこれやとゲーム機やコンピューターで無駄な出費をしてしまった。失ったお金も大きいが得たものもある。

わたしは新製品に飛びつくことをやめた。そして、セガももう買わないと心に誓った。
今回手に入れたスーパーファミコンのように、ある程度流行の流れが明確になり、シェアが確立したものを購入すれば失敗しないのだと。

コンピューターにはすっかり関心がなくなっていた。
ゲームはコンシューマー機で十分遊べ、一昔前に言われていたようなコンピューター全盛の社会になることに疑問を感じていた(今にして思えば、本当に先見の明がない)。

そして、大学生活も終わりに差し掛かった頃、世の中はまた新たなゲーム機の発売ラッシュを迎えていた。

わたしは大人になり学習したのだ。
昔のように新製品に飛びつくこともない。

それから半年ほど経ち、わたしは確信していた。
日本の大企業から発売されたあの機種で間違いないことを。
アルバイトで得たお金を片手に、秋葉原のサトームセンへと向かう。

ああ、スーパーファミコンに続いて勝ち組ハードを手に入れられる。
それまでの失敗も良い思い出になるであろう。
サトームセンの家電売り場でわたしはそのハードを指差した。

そう、Panasonicの「3DO REAL」を・・・

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(おわり)

店長のひとりごと
執筆担当者
この記事を書いた人
ぶたねこ店長

現在、個人事業主としてECショップ運営を中心に活動しています。

23年間、会社勤めをしていました。うち22年間は最大手の外資系宝飾ブランドに所属していました。
店頭業務にも携わっていましたが、主にオフィス業務で商品開発、販売促進、マーケティング、取引先との交渉など多岐にわたる業務をこなし、さまざまな知識と経験を得ることができました。

さらに、GIA G.G.(米国宝石鑑定資格)というマニアックな資格を米国で取得しているので、宝石や英語学習に関する見識があります。

10年以上に渡り出張族(日本国内がメイン)として、佐賀県以外の都道府県をすべて訪問し、地方の居酒屋などもよく知っています。

これらの事をブログで発信していきます。
「Curio Trading ブログ」(宝石や百貨店などの特化ブログ)
「店長のひとりごと」(雑記ブログ) という構成になります。
ぜひご一読ください。

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